整形外科 リウマチ科

Akamatsu Orthopaedic Clinic

日本整形外科学会 整形外科専門医

日本リウマチ学会 リウマチ専門医

日本体育協会 公認スポーツドクター

正しく投球するために

レイナー・ノーブルの正しい投球のための 10 のポイント

レイナー・ノーブル ( Rayner Noble: 1961- ) は、ヒューストン大学の野球チームのヘッドコーチを務める米国大学野球界有数のコーチです。ノーブルは、就学年齢の野球選手の、特に投手にけが、故障が多いことに対し、次の 10 項目の注意を提言しています。

  1. 筋肉が暖まるまで投げてはいけない。投球練習の前に、ストレッチングや柔軟体操、軽いジョギングが必要だ。
  2. 正しい腕の動きがきわめて重要だ。両手を体の前にして立ってからボールを手から放すポイントまでが、密接につながった一連の動作でなければならない。
  3. 投球動作中のバランスが大切だ。ボールを持った手がグラブから離れ、上げた足が下り始めるまでは、プレートをける動作を始めてはだめだ。
  4. 軸足のけりが終わるまでは、おしりと肩を開かないように。このことがプレートに対する下半身のひねりの力を最も大きく生み出し、ボールにスピードがつき、肘や肩への負担が少なくなる。
  5. 両足とおしりを使おう。軸足をけり、おしりを素早く回転させることでスピードが増し、ピッチングの動きがよくなる。
  6. ボールを手から離したら、腕を振り切れ。正しいフォロースルーでは、投げた方の肩が低くなり、低めかストライクゾーンに決まる。
  7. 自分の腕は大切にしよう。投球しないとき、特に寒いときには腕全体をカバーしておこう。ウォーミングアップなしに投げてはいけない。
  8. 投球には体のコンディションが大切だ。基本的には、自分自身に合うように、毎日のランニング、ストレッチング、軽めのウエイトトレーニングを組み合わせるのだ。上半身は、軽めのトレーニングを数多く繰り返す。下半身は、中ぐらいの負荷で普通に繰り返す。腹筋運動も忘れるな。これらのことを覚えておくのだ。
  9. 投球には精神のコンディションも大切だ。よいバッターに対する投球をイメージするのだ。試合に立ち、ピンチの場面をよい投球で切り抜けることをイメージしよう。肉体のトレーニングと同じように、精神的にもそういう投球のイメージを数多くトレーニングすれば、投球の能力をより高めてくれる。それは、実際に大きな試合やピンチになったときにどうすればよいかのリハーサルになる。
  10. 自分の体の動きやピッチングフォームをよく研究しよう。有名投手のフォームをまねようとする投手を数多く見るが、決してよいことではない。

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原典 : Raynor Noble's 10 Commandments for Proper Pitching

  1. Do not throw until your muscle temperature is elevated. This will require stretching, calisthenics, and some light jogging.
  2. Proper arm action is crucial. Break point must align with release point.
  3. Balance throughout the delivery is very important. Do not start your pushing action toward the plate until the hand separates from the glove and the lead leg goes down.
  4. Stay closed with the hips and lead shoulder until the end of the pushing sequence. This will maximize hip rotation toward the plate, resulting in added velocity and less strain on the shoulder and elbow.
  5. Use your legs and hips. Pushing with the back leg and popping the hips add up to greater velocity and increased movement on your pitches.
  6. Follow through after releasing the pitch. Proper follow-through will ensure that the throwing shoulder stays low, resulting in strikes in the lower portion or the strike zone.
  7. Take care of your arm. Keep your entire arm covered when not pitching, especially in cooler climate. Never throw without a proper warm-up.
  8. Condition yourself physically to pitch. This basically entails a dailly running and stretching routine coupled with a light weight-lifting program suited for yourself. Note : Use light weights with greater repetitions on upper body, medium weights with average repetitions on the lower body. Don't forget about those sit-ups.
  9. Condition yourself mentally to pitch. Imagine yourself pitching to good hitters. Put yourself in tough situations in a ball game and imagine yourself making good pitches to get out of the jam you are in. The more times you mentally, as well as physically, go through your delivery, the more you reinforce that action. Therefore, when you flnally do get to that big game or get into that jam, you've already rehearsed how you are going to handle it.
  10. Be yourself. Study your own body dynamics and pitching form. So many times I've seen pitchers try to emulate the form of their heroes, and it just was not good for themselves.

William Jay Bryan. Baseball and Softball. In : Bruce Reider editor. Sports Medicine : The School-Age Athlete 2nd edition. Philadelphia : W.B. Saunders; 1996. p. 491 - 541.

TABLE 26-2. Raynor Noble's 10 Commandments for Proper Pitching ( chapter 26, p. 503 )

Source : From Raynor Noble, personal communication.

Rayner Noble のつづりにつきましては、ヒューストン大学やメジャーリーグでの記録をウェブ上で見ますと " Rayner Noble " となっていて、この本での " Raynor Noble " というつづりは、誤植と思われます。

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レイナー・ノーブル

レイナー・ノーブルは、ヒューストン大学野球チームの投手でした。1983 年、ヒューストン大学の投手として初めて全米チームに選ばれ、ドラフトでヒューストン・アストロズ ( Houston Astros ) に指名されました。しかし、腕の故障により、AAA まででしかプレーできず、1987 年に引退しました。

1987 年、ヒューストン大学野球チームのコーチに就任しました。1994 年にはヘッドコーチになり、メジャーリーガー投手を育成しました。2002 年、チームは全米大学 1 位にランクされました。

参考

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米国整形外科スポーツ医学会

米国整形外科スポーツ医学会 ( American Orthopaedic Society for Sports Medicine, AOSSM ) の STOP Sports Injuries が提言している野球肩、野球肘の注意を紹介します。

  • ストレッチ、ランニング、軽い投球から少しずつ速く投げる、こういう適切なウォームアップをしよう。
  • 投手以外のいろいろなポジションの練習にも参加しよう。
  • 年齢に応じた適切な投球の目安を理解しよう。
  • 投球数のガイドラインの例を示すから、覚えておこう ( 下の表 )。
  • 一つのシーズンの間に、複数のチームで投手をするめのは止めよう ( 投げ過ぎをコントロールできなくなる )。
  • 肩や肘が痛むときは、投げてはいけない。医師 ( 整形外科医、スポーツドクター ) の診察を受けよう。
  • 連日投げ続けてはいけない。
  • 1 年中プレーし続けてはいけない ( 肩、肘を休め、特定の運動ばかりをしないように )。
  • スピードガン ( レーダーガン ) は、決して使わないように ( こどもが速球を競って無理をしてしまうからなど )。
  • 腕の調子はどうか、痛みはないか、いつも気を配ろう。
  • 年齢に応じた投球技術を身につけよう ( 速球に始まり、変化球はいつ頃から練習を始めるかなど )。
  • 体の動きのコントロール、正確な動き、よい体の動きのメカニズムが大切だ。
  • 最初に速球を身につけよう。その次はチェンジアップだ。
  • 野球でのけがが心配だったり、けがを防ぐことに関心があれば、スポーツ医学の専門家 ( 整形外科医、スポーツドクター ) 、トレーニングの専門家に相談しよう。
年齢ごとの最大の投球数
年齢 1 試合の投球数
7〜8 50
9〜10 75
11〜12 85
13〜16 95
17〜18 105

これは米国で示されたもので、日本臨床スポーツ医学会の目安とは多少異なっています。

年齢、投球数と、その後に腕を休ませる日数
14 歳以下 15 〜 18 歳 投球を休む日数
66 球以上 76 球以上 4 日
51 〜 65 球 61 〜 75 球 3 日
36 〜 50 球 46 〜 60 球 2 日
21 〜 35 球 31 〜 45 球 1 日
1 〜 20 球 1 〜 30 球 0

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